
設立趣旨書
設立の目的
弊協会は、
「ナーシングドゥーラ®︎」という人材の育成普及を通して、現代の日本が直面としている「産後支援者不足」と「潜在看護職活用」という地域保健の課題解決の一助になりたいと、2016年8月10日に設立しました。
「ナーシングドゥーラ®︎」とは、
育児家事等の療養上の世話という看護業務をもって、家族の日々の暮らしを看護(みまも)る、ストレングスモデルを活用した地域親子保健におけるヘルスプロモーターです。
また、
「ナーシングドゥーラ®︎」とは、
小児科医の故小林登先生が「ドゥーラとドゥーラ効果」(周産期医学,11,2253,1981年)で述べておられる「慈しみを持ってそこに居る存在」としての「ドゥーラ」と、看護職の「ナース」を合わせた言葉で、弊協会代表理事が2013年に創設し2016年に商標登録した看護職の新しい働き方です。
そして、当協会は、
この「ナーシングドゥーラ®︎」の育成と普及を通して
地域で暮らす親子の健康づくりと、看護師有資格者の離職防止に貢献する所存です。
設立の背景
昨今、日本では、
少子核家族化、初産年齢の高齢化、祖父母世代の有職率の増加等により、従来親族から自然に得られた産後の生活支援が得にくくなっています。
しかし、本来、
産後とは、親としての自尊心が芽生えはじめている時期。
そんな時に、SOSを出すことは難しい事が予想されます。 (参考:渡邉玲子,援助者の選定と影響要因,1997年聖路加看護大学修士論文
ゆえに、
なんとか自分で頑張ろうとしていると女性の姿が浮かびます。
そして、孤立・産後うつ・虐待・妊産婦自殺等の社会問題との関係も予想できます。
なお、
妊産婦という産後6~8週間の女性は、医学的には「褥婦(じょくふ)」と呼ばれ、出産の侵襲とホルモンの影響で心身共に「療養が必要」です。その褥婦が世話をするのは「新生児」。日々発達しつつ突然死や乳汁や唾液の誤飲リスク等、家庭内事故が起こりやすい故に、目が離せない命です。
さらに、パートナーも、日々の発達に合わせて変更が余儀なくされる新生児と、心身ともに不安定な褥婦との暮らしは、初めての経験であればどんなに不安なことでしょう。最近は男性のうつも問題になっています。
つまり、
少子核家族社会では、本来、要支援者だけでなく、産後家族すべての心身の異常の予防と早期発見などの知識とスキルを持った者が寄り添う、つまり「看護る(みまもる)」人材が必要と考えられます。
ところで、海外では、
オランダのクラームゾルフやスウェーデンの地域看護師、台湾の「到府月子保母」や欧米のドゥーラは、多民族国家では当たり前の異なる子育て文化を持つ夫婦に対して「マザーリング」を提供するような公的私的サービスを提供している国もあります。
日本でも、児童福祉法の改正により養育支援訪問事業が拡大され、子ども子育て支援法の制定などにより産前産後サポート事業のガイドラインが公表され、産後支援の整備が進められています。
さらに、令和6年6月26日に開催された「第1回妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会( こども家庭庁成育局母子保健課)で「誰ひとり取り残すことなく妊産婦に対し、安心・安全で健やかな妊娠・出産、産後をサポート」づくりについて活発な意見交換がなされています。
しかし、人材不足と質確保が課題です。
ところで、
その人材を活用できないか。
自らが、潜在看護職として苦悩した経験がある私が、開発したのが「ナーシングドゥーラ®︎」という働き方です。
産後家族の療養上の世話専門看護師だから。
私的生活との両立がしやすい。
人のためになりたいと看護職を志した者の思いを社会に活かせる。
人間関係に悩まず働ける。
どんな科の臨時経験も知識も活かせる。
高度医療技術が必要はない。
よって、
離職者が減るのではないか、という仮説のもとに、 現在、ナーシングドゥーラ®︎養成講座を開催しています。
寄り添いつなぐ看護職「ナーシングドゥーラ®︎」
自らの育児家事等の私的生活経験が活きる「療養上の世話」という看護業務の専門家。
対象者を「看る」「護る」ことで、共に、健康的な暮らしを目ざして伴走する専門職。
先の、第83回日本公衆衛生学会で報告しましたが、
この「ナーシングドゥーラ®」という新しい看護職の働き方を学んだ受講生は、2024年5月の受講生調査で、全国で98人。
受講前に、潜在看護職だった者はその7割。
さらに、開業又は開業予定者は、35人/回答者43人。
なんと、開業率は81.3%。
受講生たちは「ナーシングドゥーラ®︎になってほんとによかった」と仰っておられます。
これらの結果をふまえて、
弊協会は、今後も養成講座を開催し、
「ナーシングドゥーラ®︎」という看護職の働き方があることを全国に紹介し
看護師有資格者の離職防止と地域で暮らす親子の笑顔づくりに貢献できる人材を育成する所存です。
参考資料・看護師等(看護職員)の確保を巡る状況 第2回看護師等確保基本指針検討部会 令和5年7月7日
・厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業) 「新たな看護職員の働き方等に対応した看護職員需給推計への影響要因と エビデンスの検証についての研究 分担研究報告書(令和2年度) 潜在看護職員数の推計
・小林 登「マザーリング・ザ・マザー」(周産期医学,20,9.,1990年)
初版 2016.08.10
第二版 2019.06.25
第三版 2025.01.27


